手をぎゅっと握り返す、君の小さな手が愛しい。 微笑めば、無垢な表情で微笑み返す柔らかい表情がすき。 ありふれた毎日を、僕と彼女と君となら生きていける。 愛してるよ、永遠に。 たとえ別れが、来ようとも。ずっと、ずっと。 君は今日結婚する。 小さな頃は「パパと結婚するの」なんて可愛いこと言ってたのにな。 反抗期とかは口もきいてくれなかった。 それでも愛しいのは、単なる親バカだろう。 ドレスを纏う姿は、今まで見てきた君とは違った。 綺麗で、大人で、僕の知る子供の表情じゃなかった。 伏し目がちに椅子に座る君。 声をかけると、すっとこちらを向いていつものように微笑んだ。 最初は相手の男が憎たらしくてしかたなかったんだ。 娘さらいだ!って叫んだら、彼女は笑ってた。 君は呆れた顔をして、相手の男は苦笑い。 それでも叫ぶことをやめられなかった。 だけど思い出したんだ。 僕が彼女と結婚したあの日を。 彼女は知らない人みたいな顔をして僕を優しく見つめた。 緊張して手が震えたのを思い出す。 それでも彼女を愛する気持ちは変わらなくて勇気をだしたんだ。 死ぬ瞬間も、あのときのことは忘れない。 それくらい、重要で濃い記憶。 そうか、君ももう、そんな年齢なんだ…。 あぁ…涙が溢れてきた僕に、彼女が苦笑いしてる。 しょうもない父親さ。 だけど大好きだよって君が笑ってくれたから。 とりあえず、2人の幸せを祈ることに決めたんだ。 (そうさ僕は、誰よりも君の幸せを祈ってるんだから)