雪に残った足跡。 やけに寂しくて、涙が出た。 その足跡に少しずつ雪が積もる。 跡形もなく消えてしまうのは悲しすぎるから…。 その上に傘を置いて、座り込んだ。 自分自身に積もっていく雪は私の存在を消していくようだ。 足跡のように、誰も見ていないところで、綺麗に消滅したい。 そんな願い。そんな想い。 真っ白になっていく自分は、いつもよりも愛しかった。 頭が可笑しくなったわけではない。 車が来れば道をあける。 足跡は無残にも車に引かれ、泥に混じった。 不思議と涙が零れたのを、寒さのせいにして。 雪が好き、だけど嫌い。 どうか私の心の醜悪を目立たせないで…。 あぁ、生まれ変わるなら雪のように真っ白になりたいな。 (この空白に、貴方の想いを埋めて…そしたら私白くなれる)