言葉の壁の前でどうしようもなく私は無力だった













いつからだろう、貴方にさえ言葉が不自由になったのは…。

いつだって伝えられたはずの思いが、喉につっかえでようとしない。

咳き込んで、前を向いたとき、もう貴方はそこにいなかった。






何も言わず、傍にいて欲しいといったのは貴方だったのに。

だんだんと離れていく心を捕まえておくこともできない。

不器用な私はだんだんと崩れ落ちていくしかなかった。










*a feverish dream* 









抱きしめられたとき、ふとする煙草の香りが好きだった。

煙草を吸う人は嫌い、だけどあの人を思い出すから好き。

矛盾しているけど特別ってそういうことでしょ?










未練とも言いがたいような想いを秘め続けた。

締め付けられるような心。

アイシテルよりは憎いという言葉の方があう程の強いソレ。

不確かなまま手を離して、君を中途半端な存在にしたから。














幻が見える。










幸せだった頃の、私たち。



















本当のやさしさって何?

私を気遣うように一緒にいる貴方。

自分自身の優しさに酔いたいだけでしょう?

一度手を離しかけたのなら、もうこの手を掴まないで……。




















傷ついて、傷ついて、傷ついて、傷ついて…。






















これ以上、傷つきたくなんかない…それは我侭なことじゃないでしょう?



















「ゆう、」


「どうしたー?そんな真面目な声で」

彼はいつものように少しふざけた調子。

ねぇ、いつからなんだろうね。こんな風に、すれ違い始めたのは…。















「そろそろ、お別れの時間が来たみたいだね」



















私の中で煙草の香りは貴方の香り。

ふとした瞬間、街角で香るあの香りは特別。










ゆっくりと振り返った先、貴方はいない。










そっと微笑んで、また私は歩きはじめる。


もう貴方の手を、必要とはしない。

















貴方の中で私が、消えますように……。





















a feverish dream.

今日までの日々は、貴方と私の熱が見せるただの悪い夢だった。


















......never ending