君にさえ思いが伝わらない、それは本心を隠し続けた結果










いつからだろう、君にさえ言葉が必要になったのは。

いつだって傍にいるだけで通じたはずの思いが、伝わらない。

我侭な、独りよがりな思いだと気づいたとき、もう君はそこにはいなかった。










何も言わずに、傍にいて欲しいといったのは俺だったのに。

だんだんと心が分離していくのを感じる。

不器用な俺はいつものようにふざけながら、その小さな手を掴むしかなかった。









*a feverish dream*

〜I loved you.〜












抱きしめたときに君はいつだって俺の腕の中にすっぽりと包まれる。

小さくて暖かくて、優しい存在。

ただただ俺はその瞬間が好きで、君と一緒にいいることを望んだ。














一般の愛の定義など知らないけれど、君を求めていた。

傍にいてほしい。そう思うことは、一つの愛だろう?

君は笑う僕に笑いかけているけれど、何かに気づいたように悲哀の瞳を向けた。

その表情を見ると胸が締め付けられた。 そうさせているのは僕だというのに。

















走馬灯のように、君との日々が駆け巡る。

愛してるんだ、嘘じゃない…。
















君の手を離すことはできない。

望むなら一生、微笑み続けていたかった。

それが君を傷つけていたなんて、馬鹿な俺は気づきもせずに笑う。















これ以上君を傷つけたくなんかなくて、小さな背中が余計小さく見えて。
















俺が間違っていたのだと、やっと気づいた。
















「ゆう、」

「どうしたー?そんな真面目な声で」

いつものようにふざけた調子。

ごめん、ごめんな、分かってるよ、その続きは…。

















「あぁ、お別れの、時間だね」















君を愛していた、嘘じゃない。

だけれどそれ以上に、愛する人を見つけてしまった。


















小さなぬくもりを感じると、君を思い出す。

あのぬくもりは今もこの腕の中から消えることはない。











そっと微笑んで、体を起こし、歩み始める。

いつもの煙草を手にして思い出した。

「ゆうからはいつも煙草の匂いがするね」

君が好きだと言ったたばこの香りは、今も俺から染み付いてはなれない。














君の中で俺が、消えていきますように…。
















a feverish dream.

君の幸せを祈るよ、例え今日までの日々が夢であったとしても。









嘘じゃない。















僕は君を、愛してた。